International Network for Environmental & Humanitarian Cooperation (iNehc), Nonprofit Inc., Tokyo
Feb. 1, 2021
台湾の新型コロナ制圧のポイント
デマの拡散の防ぐために丁寧な説明とユーモアを交えたキャンペーンを行った。台湾国内で感染が確認される前からマスクの増産と確保に政府は奔走し、オードリー・タンさんはマスクの在庫を確認できるスマホアプリをつくり、そのアプリによって、誰でも必要な枚数のマスクは手に入るようになった。
私権の制限 情報公開と透明性
台湾は早い時期から個人の権利を制限する対策を取った。海外からの渡航者はバスで自宅や宿泊所に送られ14日間の隔離が義務付けられ違反者には最高で370万円の罰金が科せられた。政府の厳しい姿勢が受け入れられた背景は透明性と情報公開、政府の丁寧な説明が毎日行われた。情報は公開すべきという政府方針で、毎日、時間無制限の会見を開いて記者の質問に答え続けた。こうした政府の誠実な対応が市民の信頼を得て感染を抑え込むことが出来た。台湾はロックダウンせずに新型コロナ対策に成功し、小売業や飲食業がプラス成長できた。台湾モデルは世界の模範になれるだろう。
市民の政治参加が牽引した政府の情報公開
台湾が透明性を重視するようになったのは2014年の「ひまわり学生運動」がおこった時からである。中国と融和政策をとっていた当時の政権が中国との市場開放に関する協定を公に議論することなく強行採決を行った。それに抗議する学生が議場に突入し三週間占拠した。オードリーさんは議場の様子は市民に共有されるべきであると、インターネット接続環境を提供した。議場ではNGOと学生たちがオンラインで協定について議論し、要望書を作った。街頭には50万人がデモに参加した。若者から90代まで世代を超えた団結が生まれた。これ以後、台湾では政権が透明性を打ち出さないと支持を得られない雰囲気が生まれた。
新型コロナ対策に生かされたSARSの経験
2003年のSARS流行で73人の死亡者を出した台湾は法律や医療体制の新型ウイルス流行に備え整備を行ってきた。新型コロナ検査方法とシステムを独自に開発し、一時間で検査結果を出すことが出来る。
台湾の対策方法は世界に共有されなかった
中国の反対により2016年以後WHOから排除されている。それによって世界は対応の遅れをとった。WHOは2020年1月7日に中国武漢で肺炎を引き起こす未知のウイルスを検出したと発表したが、台湾では2019年12月31日から武漢からの直行便の検疫を開始して、ウイルス侵入を防ぐ対策を行っていた。
台湾の成功と日本の混迷
政府による情報公開と透明性、国民へのユーモアを交えた誠実で真摯な説明、先を見越した先手の対応によって台湾は新型コロナウイルスを抑え込むことが出来ている。若者から高齢者までしっかり政治に向き合って、今の台湾政治を作り上げた結果であると言える。それと比較すると日本政府の情報公開と透明性は年々低下し、安倍前首相が123回も国会で嘘の答弁をして、それに追従した官房長官が菅首相である。日本が新型コロナウイルス対応で迷走し、混迷の中にいることが現在の与党によって行われてきた政治の責任と結果であり、選んできた国民が付けを払うことになっている。